「De−View 4月号」 96/04/??
『金八先生』の広島美香役が好評!
4月からの連ドラにも出演

ニュートラルな生き方から生まれる自然な演技が魅力

小嶺さんを日常のありふれた風景に置いてみる。たとえばそれが表参道の 喧噪であっても、冬枯れの原野でも、その存在はポッと白く浮かび上がる気 がする。篠山紀信さんいわく『彼女はバルチェスの絵から抜け出したような 少女』。謎めいていて、とらえどころがないのに、しっかりと存在している。  その小嶺さんが一躍注目を集めたのが『3年B組金八先生』の広島美香役。 冷めた表情の下に傷ついた心を抱える屈折した少女を好演中だ。彼女がこの ドラマで得たことは……。 「映画(『水の中の八月』)で泣くシーンがうまくできなくて、撮影が終わった 後、悩んだことがあったんです。でも『金八』では台本を読んでるときから自 然に涙が出て、リハーサルでも泣いちゃってた。がんばって役に入ろうとし たつもりはないのに。長期間の連続ドラマで自然に気持ちが作れるようにな ったのかなって思う」  演じるにあたって特に役作りは考えないという彼女だが、独特のキャラク ターを自然に演じられるのは、もちろん単なる“慣れ”だけではないだろう。  彼女は地元熊本の中学に通いながら芸能活動を続け、普通の中学生活も大 事にしている。(もっとも多忙な現在は東京にいる比率のほうが高いが)。また 「仕事一色にしてしまうんじゃなく、友だちともいっぱい遊んでます。東京 の友だちもいっぱいできたし」とも。 自分のネットワークを広げるなかで、価値観の違う人間の考え方やふるまい を自然に吸収しているのかも。そんな彼女の生活や生き方のなかから自然な 演技が生まれるのだろう。  好きな女優は風吹ジュンさん。 「バリバリがんばってお芝居してるようには見えないでしょ。カッコよく て、かわいくて、やわらかそうで、いろんな顔を持っている気がする」  4月には熊本の実家から本格的に上京し、都内の高校に進学する予定。 そして『金八』に続き4月スタートの連ドラにも出演する予定になっている。 「今は自分をゼロに戻すことを考えています。次に役を演じる時は、また美 香と同じようにならないようにしたいです。仮に同じセリフでも全然違うニ ュアンスで言いたい。ゼロに戻す方法?普通に生活すること。それに次にか ける意気込みが美香を消してくれるかもしれません」

スタッフが証言 “彼女の魅力”

「外見的には透明感のある美少女だけど、 単に“かわいい”というだけでなく、ふと したしぐさや会話のなかから、“奥の深さ” を感じさせられる時があります。まだまだ いろんなことができそうな可能性を秘めて いる気がして、こちらも早くそれをみつけ てあげたいと思っています。今後の彼女の 成長がとても楽しみです」(所属事務所・ス ペース・ワン・高沢忠志さん) プロフィール かみねれな●1980年7月19日、熊本県生まれ。94年、 篠山紀信撮影の写真集『少女革命』でデビュー。95年に は、映画『水の中の八月』で女優デビュー。同10月から 『3年B組金八先生』(TBS)に出演。今年4月には『水 の中の八月』のビデオが発売される予定。