「週刊プレイボーイ  2/27号」 97/02/27

GOKURAKUシネマ天国

 今週の巻頭グラビアを飾っている麗奈ちゃんの最新作が この『ユメノ銀河』。デビュー作となった『水の中の八 月』以来の、石井聰互監督とのコンビだ。 「前回は演技も何もわからなくて、ただ楽しかっただけ。 でも、それから何本かドラマをやって、役者として頑張ら なきゃという気持ちで入った分、これは難しかった。監督 のところに戻ってきて変わってないのもイヤだし」  夢野久作原作の物語は、全編モノクロで綴られる少女の 恋愛奇譚。共演は昨年から一気に役者としてブレークした 浅野忠信である。 「でも、浅野さんの話題性だけでちゃんと作品は見てもら えるの?って思いましたね。それだけで来た人でもちゃんと 見られる映画になってるんで安心しましたけど」  普通は「浅野さんはとっても素敵な人で」とか「いろい ろ刺激を受けました」なんて答えが返ってくるとこでのこ の反応。彼女の意識は他の若手女優とひと味もふた味も違 う。 「私、自分でも邦画が好きなんですね。洋画にだって勝て るって思ってる。映画にしか出せない雰囲気ってあるじゃ ないですか。今は、そのイメージって中国や香港映画に近 くなってるけど、日本にも才能ある監督さんや役者はいっ ぱいいると思うし。味のある作品を作りたいんです」  こちらがいちいちうなずいてしまうほどだ。「自分では 30歳、40歳になって女優っていえるような気がする」 というが、その自覚はすでになかなかのもの。 「それに、映画は役者に箔をつけますよね。勲章っていう か。テレビは勉強になるけど、映画につながる過程とい う感じ。それに、私にはスピードが速すぎて、なかなか気 持ちも体力も追いつかない」  こんな麗奈ちゃんを、石井監督は“少女と女がせめぎあ う”本格派女優と評している。その映画女優ぶりは、ま さに天性のものらしい。 「ほんと言うと演技してる時のことはあまり覚えてないん です。終わったらパッと忘れちゃう。でも、現場ではすご くイライラしてナーバスになってますね。他の人は近づき 難いみたいですけど。そこまで気を回せないんです。まだ 子供ですから(笑)」  だとすれば、それは恐るべき子供である。これからどん な姿を彼女は見せるのか…。